導入事例

Case Study

事例:ターボブロワ ベルト・プーリ摩耗

Summary

 運転中はカバーに覆われて目視点検ができず、振動を計測しても値が大きく判別が難しい——ベルト駆動のターボブロワは、状態監視の難しい設備の一つです。T-MCMAの電流解析でベルト通過周波数成分(Lx)を監視することで、ベルト・プーリの摩耗の進行を運転中に捉え、点検での摩耗確認と交換後のパラメータ改善まで、一連のサイクルを定量的に追跡できた化学プラントの事例をご紹介します。

項目内容
業種化学
対象設備ターボブロワ(廃ガスブロワ、ベルト駆動)
異常事象ベルト・プーリの摩耗
従来手法の限界運転中はカバーがあり目視点検が困難、振動値は高値で異常の判別がつかない
着目したパラメータLx(ベルト通過周波数の2倍成分)
診断結果と検証点検でベルト・プーリの摩耗を確認(診断と一致)、交換後はLxの改善を確認
効果劣化の進行度合いを運転中に確認可能/計画的な交換への活用

導入の背景・課題:「運転中は見えない、振動でも分からない」

対象設備は、廃ガスを送るベルト駆動のターボブロワです。ベルト・プーリは摩耗が避けられない消耗部位ですが、状態把握には次の難しさがありました。

  • 運転中はベルト部がカバーに覆われており、目視での点検ができない
  • 振動を測定してももともと値が高く、摩耗による変化を判別できない
  • その結果、劣化がどこまで進んでいるのか分からず、交換時期の判断が難しい

そこで、電流解析T-MCMAを導入し、運転中のベルト・プーリの状態監視を開始しました。

検知から交換効果の確認まで:Lxの悪化 → 点検で摩耗を確認 → 交換後の改善

STEP1 Lx(ベルト通過周波数の2倍成分)の悪化を検知

監視を続ける中で、ベルト通過周波数の2倍成分に着目したLxが徐々に悪化していく傾向を捉えました。急変ではなく漸進的な悪化であることから、ベルト・プーリの摩耗が進行していると判断しました。

Lxのトレンド推移。徐々に悪化が進行し、ベルト・プーリ交換後に改善している

STEP2 点検でベルト・プーリの摩耗を確認

診断結果を受けて点検を実施したところ、ベルト・プーリに摩耗が確認され、電流解析による診断の妥当性が実機で裏付けられました

点検時に確認されたベルト・プーリの摩耗

STEP3 交換後、Lxの改善を確認

ベルト・プーリを交換した結果、Lxは明確に改善しました。摩耗の進行から交換による回復までを一つのトレンドとして追跡できたことで、Lxがベルト・プーリの劣化度合いを反映していることが実証され、今後の交換時期判断の指標として活用できることが確認されました。

診断のポイント:ベルト駆動機はベルト通過周波数成分に着目

ベルトの摩耗や劣化は、ベルトがプーリを通過する周期に応じた周波数成分(ベルト通過周波数とその高調波)に現れます。本事例ではベルト通過周波数の2倍成分をLxとして監視することで、カバーで直接見えない部位、かつ振動値が高く判別の難しい機器でも、摩耗の進行度合いを定量的に傾向管理できました。

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導入効果:Before / After

導入前導入後
運転中の点検カバーがあり目視できない運転中に劣化の進行度合いを確認可能
摩耗状態の判別振動値が高く変化を判別できないLxの傾向で摩耗の進行を定量的に把握
交換時期の判断劣化度合いが分からないトレンドに基づく計画的な交換が可能

劣化の進行度合いを運転中に確認

カバーを開けることなく、運転状態のままベルト・プーリの劣化進行を確認できるようになりました。振動では捉えられなかった摩耗の進行が、Lxのトレンドとして「見える」ようになっています。

トレンドに基づく計画的な交換

摩耗の進行度合いが定量的に分かるため、劣化の状況に応じて交換時期を計画できます。交換後のLx改善まで確認できたことで、整備効果の裏付けも取れています。

今後の展望

他のベルト駆動機への横展開他のベルト駆動機への横展開

ベルト駆動の回転機械はプラント内に広く存在し、いずれも同様の点検の難しさを抱えています。本事例で確立した監視手法は、他のベルト駆動機へもそのまま展開できると考えられます。

この事例が参考になる方

  • ベルト駆動の回転機械で、運転中に状態を確認できず困っている方
  • 振動値が高い設備で、異常による変化の判別に課題がある方
  • ベルト・プーリなど消耗部品の交換時期を計画的に判断したい方

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